ゲノム解析は「私」の世界をどう変えるのか

「ゲノム解析は「私」の世界をどう変えるのか」高橋祥子著を読みました。

ゲノム解析で何がわかるのかが最新科学の事例をちりばめながらわかりやすく解説されています。また、著者がゲノム解析サービスの会社である「ジーンクエスト」の立ち上げに至った経緯が述べられ、若き研究者であり経営者である著者の生命科学に対する考え方がわかりやすく説かれています。暗記中心であった生物学がテクノロジーと融合し、生命科学として発展している現状、および将来の進展を見通す示唆が平易に記されています。

現状のゲノム解析サービスは、ヒトに300万から1000万箇所あると考えられている一塩基多型(single mucleotide polymorphisms, SNPa; スニップス)のうち30万箇所を調べ、科学論文で報告されている疾患リスクおよび体質を報告するサービスです。このサービスでは併せて利用者からアンケートを回収しており、将来、解析データが集まってくるとアンケートの内容とゲノムデータの関連を解析して利用者にフィードバック可能なようです。現状の科学研究ではスニップスと疾患の関係が主流ですが、将来はゲノム解析サービスが発展し、ゲノム情報からその人のどの程度の特性を推定できる時代となるのでしょうか。興味深い領域だと思います。