「グーグルに学ぶディ―プラーニング」

グーグルに学ぶディ―プラーニング」日経ビッグデータ[編]を読みました。グーグル社員へのインタビューおよびグーグルアプリの利用事例を通して、ディ―プラーニングを数式を使用せず平易に解説するとともに応用事例をわかりやすく解説してくれています。

グーグル社は「AI(人工知能)ファースト」の経営方針を打ち出し、モバイルファーストの世界からAIファーストの世界へ移行していくことを宣言しています。また、グーグル社はグーグルクラウドプラットフォームを通してディ―プラーニングに関する研究成果を一般に公開しています。このプラットファームを利用すると、利用者は既にグーグルで学習を行った(構築した)モデルをAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を通して使用することができます。また、利用者が自分でモデルを構築したい場合は機械学習ライブラリであるテンソルフローを使用することができます。

本書を読んで最も印象的であったのは、グーグルクラウド・マシンラーニング・グループ研究責任者のジア・リーさんのインタビューです。彼女によるとディ―プラーニングは「データハングリー」であり、大量のデータがある場合には威力を発揮するが、人間のように限られた情報から学習していくことが残された課題であると指摘していいます。確かに人間は数少ない事実とあいまいな多くの情報を基に次の一手を打つ場面が多々あり、見事に成功をおさめる人もおられます。本書に示されたエアロセンス社のドローン空撮データへの活用事例は示唆に富みます。彼らは既存の学習モデルを使って、異なる課題を学習させる転用学習を利用することで、数少ないデータで目的の課題に対して良好なモデルを構築しています。

ディ―プラーニングは音声認識、画像認識、自然言語処理とその適応範囲が急速に広がってきており、今後、ますます我々の身近な存在になるのでしょう。